同期ミラーリングの仕組み
同期ミラーリングは、データ・ボリュームをリアルタイムでレプリケーションして、継続的な可用性を確保します。
同期ミラーリングでは、2 つのストレージ・アレイの片方で障害が発生した場合でも重要なデータのコピーを使用できるようにすることで、損失データがゼロの回復ポイント目標 (RPO) を達成します。プライマリー・ボリュームへの書き込みが行われるたびにセカンダリー・ボリュームに対して書き込みが実行されるため、コピーは常に運用データと同一になります。プライマリ ボリュームで行われた変更でセカンダリ ボリュームが更新されるまで、ホストは書き込みが成功したという確認応答を受信しません。
このタイプのミラーリングは、災害復旧など、ビジネス継続性の目的に最適です。
同期ミラーリング関係
同期ミラーリング関係は、別々のストレージ アレイ上のプライマリ ボリュームとセカンダリ ボリュームで構成されます。プライマリ ボリュームを含むストレージ アレイは、一般にプライマリ サイトにあり、アクティブなホストに対応します。セカンダリ ボリュームを含むストレージ アレイは、一般にセカンダリ サイトにあり、データのレプリカを格納します。セカンダリ ボリュームは、プライマリ サイトで完全な停電、火災、ハードウェア障害が発生した場合など、プライマリ ボリュームのストレージ アレイが使用できなくなった場合に使用されます。
同期ミラーリング セッション
同期ミラーリングの構成プロセスには、ボリュームをペアとして構成することが含まれます。ミラー ペア(ストレージ アレイ上のプライマリ ボリュームと別のストレージ アレイ上のセカンダリ ボリュームで構成)を作成したら、同期ミラーリングを開始できます。同期ミラーリングは以下のように行われます。

ホストから書き込みが行われます。
書き込みはプライマリ ボリュームにコミットされ、リモート システムに伝播され、セカンダリ ボリュームにコミットされます。
プライマリー・ボリュームのストレージ・アレイは、I/O 完了メッセージを、
両方の書き込み操作が正常に完了した後にホスト・システムに送信します。
ホストからの書き込み要求に関する情報の記録には、リザーブ容量が使用されます。
プライマリ ボリュームの現在のコントローラ所有者がホストからの書き込み要求を受信すると、コントローラはまず書き込みに関する情報をプライマリ ボリュームのリザーブ容量に記録します。次にコントローラはプライマリ ボリュームにデータを書き込みます。次に、コントローラがリモート書き込み処理を開始し、影響を受けたデータ ブロックをリモート ストレージ アレイのセカンダリ ボリュームにコピーします。
ホスト アプリケーションは、ローカル ストレージ アレイおよびリモート ストレージ アレイ上のネットワーク全体で書き込みが行われるまで待機する必要があります。そのため、ローカルのI/Oパフォーマンスを大幅に低下させることなくミラー関係を維持するためには、ローカル ストレージ アレイとリモート ストレージ アレイの間に非常に高速な接続が必要です。
ディザスタ リカバリ
同期ミラーリングでは、データが存在するサイトから物理的に離れた場所にデータのコピーが保持されます。停電や洪水などの災害がプライマリ サイトで発生した場合、すぐにセカンダリ サイトにあるデータにアクセスできます。
同期ミラーリング処理の進行中、ホスト アプリケーションはセカンダリ ボリュームを使用できないため、ローカル ストレージ アレイで災害が発生した場合はリモート ストレージ アレイにフェイルオーバーできます。フェイルオーバーするには、セカンダリ ボリュームをプライマリ ロールに昇格します。リカバリ ホストは新しく昇格されたボリュームにアクセスできるため、業務を続行できます。
同期の設定
ミラー ペアを作成するときは、同期優先度と再同期ポリシーも定義します。通信が中断した場合、ミラー ペアはこれらを使用して再同期処理を完了します。
2つのストレージ アレイ間の通信リンクが停止しても、ホストはローカル ストレージ アレイからの確認応答を引き続き受信し、アクセスが失われるのを防ぎます。通信リンクの動作が再開したら、レプリケートされていないデータを自動的に、または手動で、リモート ストレージ アレイに再同期できます。
データが自動的に再同期されるかどうかは、ミラー ペアの再同期ポリシーによって異なります。自動再同期ポリシーを使用している場合は、リンクの再開時にミラー ペアが自動的に再同期されます。手動再同期ポリシーを使用している場合は、通信問題の発生後に同期を手動で再開する必要があります。手動再同期ポリシーが推奨されるポリシーです。
ミラー ペアの同期設定は、プライマリ ボリュームを含むストレージ アレイでのみ編集できます。
非同期のデータ
プライマリ ボリュームのストレージ アレイがセカンダリ ボリュームにデータを書き込むことができなくなった場合、プライマリ ボリュームとセカンダリ ボリュームは非同期状態になります。この原因として次の問題が考えられます。
ローカル ストレージ アレイとリモート ストレージ アレイ間のネットワーク問題
セカンダリ ボリュームの障害
ミラー ペアの同期が手動で一時停止されている
孤立したミラー ペア
孤立したミラー ペア ボリュームは、一方(プライマリまたはセカンダリ)でメンバー ボリュームが削除され、もう一方では削除されていない場合に発生します。
孤立したミラー ペア ボリュームは、アレイ間の通信がリストアされ、ミラー構成の両サイドでミラー パラメータが調整されたときに検出されます。
ミラー ペアを削除すると、孤立したミラー ペアの状態を修正できます。
構成と管理
2 つのアレイ間でミラーリングを有効にして構成するには、SAN Manager インターフェースを使用する必要があります。ミラーリングを有効にすると、System Manager でミラーリング・ペアおよび同期設定を管理できます。